自死・孤独死の原状回復専門
第八行政書士事務所
Q1:賃貸物件で家族が自殺(or孤独死)をしました。部屋の片付けや原状回復をしないといけ
ないと思うのですが、故人は借金をしている可能性もあり相続放棄を検討しています。
どうしたらいいのでしょうか?
A:ご家族や身内の方が賃貸物件で自殺や孤独死をされた場合にまず確認する必要があるのが
賃貸契約の際にご家族や身内の方が「連帯保証人」になられているかどうかです。
もし、賃貸契約の際に身近な方が連帯保証人になられていないのなら「相続放棄」を選択す
るのも大事な手段のひとつとなります。
故人に多額の借金があった場合や家主側より高額な損害賠償や原状回復費用を請求されたと
しても相続放棄をした相続人には支払い義務はなくなります。
ただし、相続放棄は故人の借金のようなマイナスの財産ばかりでなく、預貯金などのプラス
の財産も引き継げなくなりますので、家主側からの請求の総額と故人の有していたプラスの
財産を比較してマイナスの財産がはるかに多いようなら相続放棄を検討した方が良いでしょ
う。
※相続放棄は故人の死亡を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申述(相続放棄の手続き)する
必要があります。
※賃貸契約の際の「緊急連絡先」は原則「連帯保証人」ではありません。
家族や身近な方が連帯保証人になっている場合
ご家族や友人の方など故人に近しい人が「連帯保証人」になられている場合はたとえ「相続放棄」をしたとしても連帯保証人としての立場は依然として残っており、連帯保証人の義務として家主に部屋の明渡しをする必要が出てきます。
この場合に取れる方法は次のようになります。
・自分達で清掃や片付けを行ったり、遺品整理業者などを手配して残地物を片付ける。
・部屋の片付けは家主に任せて、片付けや清掃に掛かった費用を後で家主へと支払う。
・部屋に残された荷物を一旦ご自宅やトランクルームなどに移す。
連帯保証人の方が遺品整理を行う際に注意しなければいけないのが、相続放棄をするかどうかです。先ほど述べたように連帯保証人の方が相続放棄をしたとしても部屋の明渡し義務は残ります。
しかし、相続放棄をしても残る義務はその部屋に関する連帯保証人としての義務だけですので、その他に故人が負っていた借金などは相続放棄をすることによって支払い義務を免れることができますので、相続放棄をする意味は十分にあります。
ただ、安易に遺品整理として室内の残地物を処分してしまったりすると相続放棄が出来なくなったり、相続放棄をした後に無効とされてしまう可能性があります。
相続放棄を予定している連帯保証人がする遺品整理について
相続放棄を予定している連帯保証人の方は次の事に注意して遺品整理を行いましょう。
・相続人としてではなく、連帯保証人として部屋の明渡しをすることを家主に伝える。
・室内の物を処分する際は市場価値のある物を処分しないようにする。
一般的な衣類や何年も使用しているような家具・家電は処分しても問題ないと考えられていま
すが、ブランド品や貴金属類、リサイクルショップで査定したら何万円にもなるような品につ
いては遺品整理の際に捨てたり、売ったりしてしまうと故人の財産を処分したとして「相続の
法定単純承認」の事由に該当し相続放棄が出来なくなる可能性がありますので注意が必要で
す。
・市場価値のありそうな物は自宅やレンタル倉庫などを借りてしばらく保管する。
相続放棄された方には次順位の相続人又は相続財産管理人に故人の財産を引き渡す義務があり
ますので、市場価値のありそうな物は安易に処分してしまわないようにしましょう。
・遺品整理に掛かった費用を故人の預貯金から支払わないようにする。
故人の預貯金を使用してしまうと相続放棄ができなくなる可能性がありますので、遺品整理の
費用などはポケットマネーで支払うようにしましょう。
どうしていいかわからない場合は専門家へ相談
残された家財の財産的価値の有無や相続放棄に影響の無い遺品整理の進め方などは判断の難し
いところでもあります。
どうしたら良いのかわからない時は遺品整理や相続に詳しい専門家に相談することをお勧めし ます。